企業の「ふるまい」と財務諸表
「リスクマネジメント」の概念が流行し、そしてもちろん多くの企業で必要とされている。本書の著者は日商岩井にて審査業務に携わっていたそうだ。前半は企業の「振る舞い」について記述されている(第一章 審査業務はなぜ必要か/第二章 危ない会社の見分け方/第三章 取引形態の実態と分析)。この部分で記載されているのは、あまりに「あたりまえ」のことではある。そういう意味で本書に大きな価値があるとは思えない。 しかしいわゆる IT バブルの頃、「あたりまえ」が守れない企業が多く生まれ、そしてなんとか生き延びているのも事実。本書は、このような「あたりまえ」ができない企業が自省するために読むと参考になるかもしれない。 後半は財務諸表から企業の信用情報をチェックするためのノウハウを記述している。この部分、財務諸表を読むプロフェッショナルにとっては魅力的とは言えないだろう。また、素人にとってはやや難解で、財務諸表の読み方を記した参考書が必要となってくるだろう。 と、いうわけで。本書は限られた読者層が、限られた目的で読むものだと結論する。
商事法務研究会
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